2021年2月21日更新
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0(ゼロ)は長らく、数とみなされていなかった
0(ゼロ)は数なのでしょうか?
昔のヨーロッパの人々は悩んでいました。数はもともと個数を数えるためにありました。例えば、りんごが1個、2個、3個…と数えられますよね。ところが、「1個のりんご」があっても「0個のりんご」はありません。つまり、0(ゼロ)は数字の中でも特別な存在でした。
0(ゼロ)は長らく、「数」とはみなされていませんでした。先ほども述べましたが、昔の人は「0個は意味がないから、0は数ではない」という考え方になっていたのです。現代では、ごく普通に使われている0(ゼロ)も昔の人々にとっては不思議な存在でした。
0(ゼロ)は数学の崩壊をもたらす
「0から4を引いても0だ」と考えた
0(ゼロ)という概念は、かつてヨーロッパの多くの人を悩ませました。フランスの数学者でもあるパスカルでさえも、「0から4を引いても0だ」と考えていました。なぜなら、0(ゼロ)は何もない「無」を表すため、無いものから何も引けないとしたのです。
0(ゼロ)の割り算はやってはいけない禁止事項
現代数学では0(ゼロ)の割り算はやってはいけない禁止事項となっています。
例えば、1÷0=a といった式があります。答えは0でしょうか?
まず「a÷b=c」とおいてみて、「a=b×c」と変形できます。
そうすると、先ほどの「1÷0=a」を「1=0×a」と変形しますが、この数式がおかしいことに気づきませんか。
そうなんです。aにどんな数字を入れても1にはならず、全て0になることがわかります。
そのため0(ゼロ)の割り算は禁止されているのです。
数としての0(ゼロ)は、インドで生まれた?
0(ゼロ)が一人前の「数」としてみなされたのはインドが最初との説が有力です。0(ゼロ)が一人前の「数」としてみなされるというのは、足す、引く、掛ける、割るなどの演算の対象として0(ゼロ)をみるということです。インドで生まれた0(ゼロ)を含む記数法は、アラビアのイスラム文化圏をへて、ヨーロッパに普及しました。
ローマ数字は3999まで
「I、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ、Ⅹ…」と時計などでよく見かけるローマ数字ですが、実はローマ数字には0(ゼロ)がありません。
50は「L」、100は「C」、1000は「M」であらわします。
ローマ数字では、1000をあらわす「M」は、連続して3つまでしか使えません。したがって、ローマ数字で表せる最大の数は「3999」までとなるのです。ちなみに「3999」は、「MMMCMXCⅨ」となります。
温度には、絶対0度という下限がある
「コロナウィルスワクチンの保存に、摂氏マイナス70度での保管が必要」との報道をよく耳にし、超低温がお茶の間の話題となっています。
私たちが日常よく目にする摂氏0度は、水が氷に変わる温度です。一方で、物理学で使われる温度で「絶対0度」があり、これは摂氏マイナス273.15度に相当し、温度の下限です。つまり、それより低い温度は存在しないことになります。絶対0度は文字通り、絶対的な意味を持った温度なのです。
→「教養」