「スマホ脳」 アンデシュ・ハンセン/訳者 久山 葉子

2021年1月21日
書籍

「スティーブ・ジョブズは、わが子になぜiPadを触らせなかったのか」

スマートフォンを操作する女性

スマートフォンによる教育への悪影響を示す新潮新書『スマホ脳』(著:アンデシュ・ハンセン、訳:久山葉子)が、昨年11月18日の刊行以来、異例の反響を呼んでおり、発売から2ヶ月で22万部に到達。

著者であるアンデシュ・ハンセンは、スウェーデン生まれの精神科医で、病院勤務のかたわらにメディア活動を続け、前作の「一流の頭脳」は、人口が13分の1のスウェーデンで60万部の売れ行きで、世界20ヶ国で翻訳もされるベストセラーになった。

まずタイトルを見て、「これは自分自身の問題では?」と直感した人も多いのではないだろうか。

すきま時間があればスマホを取り出し操作していることが日常化し、スマホ抜きでは生活できないほど依存していることに意識を向けると、実は問題山積みである。

通勤電車でスマホをいじろうとしたら、家に置いたまま忘れて出かけてしまったことで、一日中落ち着かず不安になったといったことはなかっただろうか。

「友人からメールが届いているかもしれない。けど返信ができない。」
「グループラインで仲間たちが会話で盛り上がっているのに、私だけが加われない。仲間から感じが悪いと思われているのでは?」

実はスマホが手元にないことで極度のストレスがかかるのは、スマホ依存症の兆候。

本書では、私たちの日常に欠かせない存在となったスマホやiPadが人間、特に子供や若者にどういった影響を与えるかの考察している。確かに便利だが長期的な悪影響はないのだろうか。ましてや子供についてはどうなのだろうか。かと言って、今の時代子供にスマホを持たせないわけにもいかない。どう使えば安全なのかわからないまま、デジタルな世界だけは前に進み続けている。

また、本書は子供だけでなく大人にとっても多くの示唆を与えている。

「最近物忘れがひどくなった」「以前ほど集中力がなくなった」「ストレスを感じやすくなった」などの兆候はないだろうか。これらは現代のスマホ依存症に関係しているかもしれない。

1日に4時間をスマホに費やしている

現在、大人は1日に4時間をスマホに費やしており、10代の若者なら4〜5時間におよぶ。
また、1日に2600回以上スマホに触り、平均して10分に1度スマホを手に取っている。社会人なら仕事8時間、睡眠時間8時間を除いた残り8時間のうちの半分以上をスマホに費やしていると言える。

スティーブ・ジョブズは、わが子にiPadを触らせなかった

ジョブズは、2010年初頭にサンフランシスコで開かれた製品発表会でiPadを初めて紹介し、聴衆を魅了した。「インターネットへのアクセスという特別な可能性をもたらす、驚くべき、比類なき存在」と、iPadに最大級の賛辞を浴びせた。
ただし、自分の子供の使用には慎重になっているーことまでは言わなかった。あまりに依存性が高いことには気づいていたのに。ニューヨーク・タイムズ紙の記者が、あるインタビューでジョブズにこう尋ねている。「自宅の壁は、スクリーンやiPadで埋め尽くされてるんでしょう?ディナーに訪れたゲストには、お菓子の代わりに、iPadを配るんですか?」それに対するジョブズの答えは「iPadはそばに置くことすらしない」、そしてスクリーンタイムを厳しく制限していると話した。仰天した記者は、ジョブズをローテクな親だと決めつけた。

ビル・ゲイツは子供が14歳になるまでスマホは持たせなかったと話す。

フェイスブックで「いいね」を開発した人物であるローゼンスタイン。
「立てた親指」の立役者は、自分の創造物が度を越して魅力的だと感じている。後悔したように次のように発言している。「製品を開発するときに最善を尽くすのは当たり前。が、それが思わぬ悪影響を招くことに気づいたのは後になってからだ」

つまり、多くのIT企業のトップおよびその開発者たちは、スマホの魔力に早くから気づいていたのだ。多くの革新的な技術や製品を世界に投入してきた彼らが、その特性や影響について一番わかっていたのは当然だ。しかし、一方で多くのユーザーは、どっぷりとその魅力に依存してしまい、どうにも抜け出せなくなってしまったのである。

 

どんな人がスマホ依存症なのか

700人近くの大学生を対象にスマホの使用習慣を調査した結果から、次のようなことが判明したという。被験者の3分の1は、夜中でもスマホを手放せない「ヘビーユーザー」であった。その特徴は、自尊心は低いが、競争心が強く、自分を強いストレスにさらしている傾向にあった。一方で、おっとりして落ち着きのある人はスマホに依存する傾向にない。

スマホで「うつ」になる?

長期にわたってストレスを受け続けることは、結果として「うつ」になりやすい。現代のデジタル社会とスマホは、ストレスを引き起こす一因であると考えられている。

本当にスマホはストレスを引き起こし、結果として人を「うつ」にさせるのだろうか。

サウジアラビアで1000人を対象におこなった調査では、スマホ依存と「うつ」に警戒すべきレベルで強い相関関係があると結論づけた。中国では、スマホを多用する学生は、孤独で自信がなく、うつになる傾向があると結論づけた。オーストラリアでも、うつ患者がスマホを多用していることがわかった。

これらは調査、事例の列挙でしかないが、スマホの依存が「うつ」になる要因の一つであることには変わりはない。なぜなら、スマホで多くの時間を費やすことで、睡眠不足や運動不足、座りっぱなしになるため、ストレスがたまりやすいライフスタイルになると言える。

スマホ画面のブルーライトは食欲にまで影響する?

体重が気になる人は、深夜のスマホ利用に気をつけたほうが良い。深夜にスマホを利用しすぎると食欲が増進されやすいとのこと。スマホから発せられるブルーライトの影響により、ストレスホルモンのコルチゾールと空腹ホルモンのグレリンが増進させるため、食欲が旺盛になるだけでなく身体に脂肪も貯めやすくさせるのだ。

 

デジタル時代で「うつ」にならない10のアドバイス

  1. スマホの利用時間を知る
  2. 毎日1〜2時間はスマホをオフにする
  3. スマホの表示をモノクロに
  4. スマホは手元に置かず、カバンの中か引き出しの中に入れる
  5. スマホを見る時間を決める
  6. 人と会っているときは、スマホは目の届かないところにしまう
  7. 就寝1時間前にはスマホの電源を切る
  8. スマホを寝室に置かない
  9. 散歩でも良いので適度な運動をする。週に3回、計45分程度の運動で良い
  10. 積極的に交流しようと思う人にだけフォローしよう

 

まとめ

スマホはドラッグと一緒でドーパミンを放出させる装置である。スマホ開発者は多くの人をいかにしてスマホに依存させるかに集中している。常に人々を惹きつける道具はドラッグそのものである。スマホを机の上に置いているだけで集中力が低下し、相手との会話もつまらなくなる。スマホ依存から抜けるには、あえてスマホを触らない時間をつくること。「うつ」の予防のためには運動することも大事だ。i一度思い切って実践してみることをオススメする。

 

 

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