【2021年1月11日更新】
マイホームの購入で住宅ローンを組む場合、長期にわたってローンを返済することになり、どの金利パターンを選ぶかは非常に重要です。
しかし、「変動金利と固定金利どっちがいいのだろう?」と悩む方はたくさんいらっしゃいます。種類がたくさんあることと、その仕組みの複雑さが、どれを選んだらよい分からないといったことにつながっていると思われます。
それぞれどのようなメリットやデメリットがあるかを分かりやすく解説していき、これからマイホームの購入を検討されている方のサポートになればと考えています。
結論で言えば、そもそも「変動金利と固定金利どっちがいいのだろう?」ではなく、「あなたにとって、変動金利と固定金利どっちがいいのか」が本当に大切なことなのです。
目次
目次
金利パターンは大きく3種類
金利タイプは大きく、1. 変動金利と2. 固定金利に分けられます。
さらに固定金利は、以下の2つに分かれます。
2-(1) 全期間固定金利型・・・全期間に渡って金利が変わらない
2-(2) 固定期間選択型・・・一定期間のみ固定金利となる
それでは、この3種類の金利パターンをもとに以下を解説していきます。
実際の住宅ローン利用者はどの金利タイプを選んでいるの?
それでは実際の住宅ローン利用者は、3種類の金利パターンのうちどれを選択しているのでしょうか。
住宅金融支援機構が発表している「住宅ローン利用者の実態調査」(2020年度)を見てみましょう。
利用した金利タイプを見ると以下の通りで、約6割の人が変動型を利用しています。
・変動型 60.2%
・固定期間選択型 26.6%
・全期間固定型 13.2%
変動型が選ばれる理由としては、低金利が続いていることがあります。
つまり、1999年3月に当時日銀の速水総裁の「ゼロ金利発言」により超低金利政策が始まりましたが、20年以上経った現在も金利が低いままです。むしろ世界的な新型コロナウィルス感染拡大により、世界中ではお金がジャブジャブの状態になっていることから、「これまでも金利は上がっていなし、これからも当面上がることはないだろう」との多くの見方が、今の低金利を支えていると言っても良いでしょう。
以上のことから「金利が低い変動型が良いのでは?」と考えてしましがちですが、全員が同じように考えるなら、全員変動型を選択するはずです。しかし、固定型を選択する人も約40%ほど存在することを忘れてはいけません。
人によって置かれている環境(年齢、職業、収入、住宅ローン金額、返済年数、物件など)が違うことから、自分がどの選択をすることが最適かを考える必要があります。
まず3つのパターンの特長について簡単に解説していきます。
3つ金利パターンを徹底解説
1. 変動金利型
定期的に金利が見直されることによって、金利が動く可能性があるため、返済額が下がるメリットもあれば、逆に金利が増えて返済額が大きくなるデメリットもあります。
変動金利型のメリットとデメリット
メリット | ・金利が低い ・金利が上昇しなければずっと低金利のまま ・金利が上昇しても、返済額の上昇率は5年で1.25倍に制限される |
デメリット | ・返済途中に金利が上昇すると返済額・利息が上昇するリスクがある ・返済額が金利動向で変動してしまうので返済計画が立てにくい |
(1)金利が低い
変動金利型は、固定金利型と比べて金利が低く設定されています。住宅ローンを扱っている金融機関が多いことから、金利は1%を大きく割り込んでおり、0.5%を下回る金利の住宅ローンも複数あります。住宅ローンで最も人気がある金利タイプです。
例)主な取扱金融機関
・ジャパンネット銀行・・・新規お借り入れ 0.380%(2021年1月11日)
・住信SBIネット銀行・・・新規お借り入れ 0.410%(2021年1月実行金利)
・auじぶん銀行・・・新規お借り入れ 0.410%(2021年1月実行金利)
(2) 一定期間おきに金利が変化
変動金利は名前の通り、常に金利が変動します。具体的には、金利は約6ヶ月(毎年4月、10月)ごとに見直され、返済額は5年ごとに見直されます。金利が上がれば返済額に占める利息の割合が増えるリスクがありますが、どれだけ返済額が高くなっても、今の返済額の1.25倍までと決まっています。
しかし毎月の返済額に上限はあっても、金利には上限がありません。つまり、金利が上がり続けることで、毎月の返済額からは先に利息が引かれていき、残った金額から元金が引かれることになります。
金利が上がり、さらに元金の減りが遅くなることで、「未払い利息」が発生し、最終的な総返済額も増えていくことになります。金利の状況はあくまでこれからも変動していく可能性があることを十分に考慮した上で、変動金利か固定金利かを選択する必要があるでしょう。
変動金利型に向いている人
・ローンの返済期間が短い ・借り入れ金額が少ない ・住宅ローンの返済額が上がっても、預貯金などで対処することができる人 ・教育費など、今後大きな支出がない人
もし金利が上昇しても、返済額が増える前に繰上げ返済を行う余裕があれば、元金分を減らして金利の上昇を抑えることができます。
また、住宅ローンの借入金が少ない人も、金利上昇による経済的負担は少ないといえるでしょう。
2. 全期間固定金利型
全期間固定金利とは、借入れした時から完済までの金利が一定のプランです。
返済期間は20〜35年程度で、期間は自由に選択できます。3つの金利タイプの中では金利は高めになります。
フラット35はその代表例で、その他銀行等の金融機関でも取扱いがあります。
将来教育費等の支出が増えると家計が厳しくなると予想される人など、安定した返済額を優先する人に向いています。
全期間固定金利型のメリットとデメリット
メリット | ・毎月の返済額が変わらないので、ライフプランが立てやすい ・返済額が確定できて安心 ・低金利時においては、完済まで低金利の恩恵を受けられる |
デメリット | ・高金利時に選んだ場合、その後市場金利が低下しても、金利は高いままになってしまう ・変動金利より金利が高いため、返済負担は大きい |
(1) 毎回の返済額があらかじめ決まっている
借り入れ時に全期間の返済額が確定できることが最大の特徴です。代表例はフラット35です。
返済額の見通しがつくので将来のライフプランが立てやすくなります。また、世の中の金利が上昇しても影響を受けず返済額も変わらないため安心感があります。
(2) 変動金利よりも金利が高い
新規借入・全期間固定金利型住宅ローンの金利相場は、1.365%です。
全期間固定金利型住宅ローンの金利相場は、変動金利型住宅ローンの金利相場に比べて、0.8%ほど高くなっています。
例)主な取扱金融機関
・楽天銀行・・・1.20%(2021年1月1日 団信あり)
・住信SBIネット銀行・・・【保証型】1.13% 、【買取型】1.20%(2021年1月1日)
・ARUHI・・・1.040%(【フラット35】S 21〜35年)
全期間固定金利型に向いている人
・将来教育費等の支出が増えると家計が厳しくなると予想される人 ・安定した返済額を優先する人 ・金利上昇リスクを避けたい人
3. 固定金利期間選択型(当初固定金利型)
固定期間選択型とは、一定期間のみ金利を固定できる住宅ローンです。
固定期間選択型のメリットとデメリット
メリット | ・ライフプランをもとにするなど、必要な期間は返済額を一定にできる ・全期間固定よりも金利を低くおさえられる |
デメリット | ・固定期間終了時には、金利変動のリスクがある ・変動金利型のように返済額の増額幅を制限するルールがないため、固定期間終了後、返済額が大きく増える可能性がある |
全期間固定金利型よりも金利が低い
当初、2年・3年・5年・10年・15年・20年など、金利を固定する期間が選ぶことができ、その期間内の金利・返済額は一律です。金利は一般的に固定期間が短いほど低く、長いほど高くなります。しかし、全期間固定金利型よりは金利が低く設定されています。
「当初期間は低金利、当初期間終了後は高金利」
当初に指定した期間は固定金利となり、期間終了後に変動金利に変更することも、再度固定金利を選択することも可能です。しかし、その時点で金利相場の影響を受けるため、返済額が増える可能性があります。
また、この金利パターンを選択する場合のもっとも注意すべき点は、金利上昇に伴う返済額の上限が決まっていないということです。変動金利の場合は、「どれだけ返済額が高くなっても、今の返済額の1.25倍まで」と決まっていましたが、固定期間選択型はこの上限が決まっていないため、金利が上がった場合、返済負担が青天井となります。
例)主な取扱金融機関
・ジャパンネット銀行・・・0.499%(2021年1月11日 当初期間引下型10年)
・ソニー銀行・・・新規お借り入れ 0.600〜1089%(2021年1月11日 固定セレクト住宅ローン)
・auじぶん銀行・・・新規お借り入れ 0.530%(2021年1月11日 当初期間引下げプラン10年)
固定金利期間選択型に向いている人
・当面、子どもの教育費などが重なり返済額を抑えたいが、その間の金利変動リスクは避けたい人 ・一定期間が過ぎたら、妻が働くなどで収入がアップする予定のある人 ・今は車などのローンがあるが、終われば家計に余裕ができる人
まとめ
ここまで、住宅ローンの金利についてまとめてきました。
住宅ローンには「変動金利型」「全期間固定金利型」「固定期間選択型」の3つのパターンがあります。それぞれにメリット・デメリットがありますが、特長を把握して自身に合った金利パターンを選びましょう。
変動型や当初固定金利型の住宅ローン金利は、全期間固定型に比べると金利が安いため、支払利息も少なくなります。そして毎月の返済金額が低くなることから生活も楽になります。
しかしながら、変動型であれば半年ごとに金利が変化し、当初固定金利型も一定期間が終了した時点で、市場金利が上昇していれば、住宅ローン金利も上がってしまうことになります。
特に注意すべきことは、変動型の住宅ローン金利よりも固定型の住宅ローンの方が、ずいぶんと早く金利が上がってしまうという事実です。
つまり、変動型の住宅ローンを借りていて、金利が上がりそうだから固定型に借り換えようとしても、話はそうそううまくいかず、その時には固定型の住宅ローン金利は、すっかり高くなってしまっているということです。
単に金利の高い・低いだけで選択するのではなく、自身の収入や貯蓄、将来の支出予定などを総合的に考えて、万が一に金利が上昇しても無理のない返済ができるかどうかを第一に考えることが何よりも大切です。
「Suumo」アプリの返済シミュレーションで利息・金利を簡単に計算できますので、あらかじめ計算して返済金額を把握することで、より安心して契約できます。
この記事が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。