【6541】グレイステクノロジー マニュアル作成専門集団

2021年9月27日
株式投資

グレイステクノロジーとは

グレイステクノロジーは、マニュアル作成を強みとする東京証券取引所1部上場の会社で、創業して35年以上になります。
最近テレビコマーシャルで、頻繁に見られるようになりました。

 

産業機械を中心とした各種マニュアル管理を目的に2000年に設立された会社です。

WEB上でマニュアル作成・管理・運用を行う「e−manual」を開発するなど、マニュアルを扱う専門会社です。主な顧客は国内外のメーカーで、取扱説明書からパーツカタログ、接客対応マニュアルなどまでを扱っています。最近では、作業手順を指示する人工知能(AI)搭載メガネ「グレース・ビジョン」を開発し、事業を拡大しています。

現在のSBIホールディングス、ソフトバンクBB、伊藤忠テクノソリューションズから出資を受けています。

さて、マニュアル作成といっても、一般消費者向けのBtoC(例えば、エアコンやドライヤーの取扱説明書)ではなく、工場で機械操作を行う担当者向けのBtoB(クレーンや半導体製造装置などの操作説明書)です。

マニュアル作成に特化した会社って珍しいですよね。

この会社では、マニュアルの翻訳業務も行なっています。
企業では、自社製品を海外に売り出す時にマニュアルや仕様書を海外向けに翻訳する必要があるからです。その必要性については創業当初から認識していて、マニュアル企画制作の手法などを多数の翻訳会社に伝授していたようです。

 

核となるMOS事業とMMS事業

事業の柱は大きく2つです。

・MOS事業
・MMS事業

よく分からない事業名が出てきましたね。詳しくは以下でご説明します。

MOS事業

MOS事業とは、マニュアルオーダーメードサービス事業、略しています。
具体的には、各種マニュアルのテクニカルライティング・翻訳業務の受託を行なっています。

例えば、あるメーカーが新製品の機械を作り上げ、それを販売するとします。
当然、その機械の設置や操作・メンテナンス方法が記されたマニュアルが必要になります。
なぜなら、マニュアルがないと機械を導入しても適切に扱うことができないからです。

しかし、マニュアルをゼロベースから作り上げるのは結構大変な作業です。
メーカーの多くは、マニュアルを統括する部門がなく、技術者が必要に迫られてマニュアルを作成しているからです。
そのためスタイル(表記・レイアウト)や用語・表現に統 一感がなく、品質・精度にもバラツキが出てくるといった不具合が生じてきます。

技術者は、あくまでも技術者であって、マニュアル作成のプロでないのです。

ではメーカーは、どのようにマニュアルを無理なく整備できるのか。
「餅は餅屋」の発想で専門分野は専門家にお任せすることが大事です。

そこで登場するのが、グレイステクノロジーです。

グレイステクノロジーは、産業機械やソフトウェアに付随する操作・運用系の技術マニュアルなど
あらゆるマニュアルのコンサルティング、企 画・構成、編集、制作を専門としています。

まず最初にメーカーと打ち合わせを行い、現在メーカーが使用しているマニュアルを精査して問題点を浮かび上がらせます。

用語や表現の不一致や内容構成の過不足など問題点を拾い上げた後に、一定のルールに従って、細部まで規格化して「伝わりやすい、統一感のあるマニュアル」制作につなげていきます。

つまり、目次構成から始まり、本文、写真やイラストなどをモジュール化してデータベースを構築し、
各項目の組み合わせることでマニュアルそのものが組み上げられていくわけです。

ルール作り→ パターン化→ モジュール化→ データベース構築

これがMOS事業の実態です。

MMS事業

マニュアルマネージメントシステム事業、略してMMS事業です。
具体的には各種マニュアルの管理・配信・閲覧・制作を支援するマニュアル基幹システム「e-manual」、「GRACE VISION®」 の企画、導入及び運営です。
制作、更新、閲覧、印刷まで全てをWEB上でできるため、マニュアル作りの効率化、コスト削減が可能です。

その代表的なサービスが「e-manual」です。

「e-manual」とは、膨大なマニュアルを電子化し、クラウド上で総合管理・制作するシステムです。

・Web上でマニュアルを簡単に自動生成・管理
・ネットワークを通じて、複数人でマニュアルを同時編集可能
・文章とデザインを分離して管理するので書くことに集中できる
・用語フィルターで機械的に用語を統一
・マニュアルと制作工程を一元管理して修正漏れを防ぐワークフロー管理を実現
・オンデマンド印刷によりワンクリックでマニュアルをお届け

マニュアル翻訳とは

グレイステクノロジーはマニュアル翻訳も行っています。

メーカーは新製品を開発し、マニュアルを制作しますが、販売は国内向けだけとは限りません。海外に向けて売り出すことも当然あります。

海外販売も視野に入れているメーカーにとっては、マニュアルの翻訳は必要不可欠と言えるでしょう。

しかし、翻訳はプロの翻訳者でないと難しく、翻訳それ自体は非常にハードルが高いです。

本当にそんなに難しいの?多少独学で勉強すればできるんじゃないの?
と思われる方も多いかもしれませんが、とんでもありません。

確かに、特許や論文などに比べるとマニュアル翻訳の難易度は下がりますが、それでもやはりプロの翻訳者でないと正しく伝わらないといったことが発生します。

マニュアル翻訳は、文章そのものの流暢さや美しさよりも、むしろ「作業者が適切に扱える」ために「正しく伝える」ことが何よりも重要です。なぜなら実際に機械を扱う現場の作業担当者が、誤った操作方法が記載されたマニュアルに従って作業したことで事故につながったとなれば重大な責任問題に発展するからです。

技術をきちんと理解して、なおかつ翻訳できる語学力を備えている方は非常に少ないです。
やはり「餅は餅屋」で、翻訳はプロの翻訳者に任せた方が安心と言えます。

 

グレイステクノロジーのマニュアル翻訳の特徴

グレイステクノロジーは、技術翻訳にはかなり強い自信を持っている印象を受けます。

ウェブサイトを見ると、

「当社の技術翻訳に、抜け・誤訳・誤字・脱字はありません」
「用語・表記・表現の不統一もありません」
「他社の追従を許さない品質の高さを実現しています」

とあり、証券マンが
「この株は絶対上がります。下がることはありません」
と言っているのに近い内容です。

しかし、それだけの自信があるなら根拠があるはずです。それは何なのか。

 

根拠1 まず原稿(参考としての日・英版を含む)の誤字・脱字の修正を行い、完全に整った原稿で翻訳を開始する

クライアントが日本語版マニュアルを英語に翻訳したいとします。

しかし、もしその日本語版マニュアル(参考の日・英版を含む)に抜け・誤脱字、不統一が大量に存在すれば、どうでしょう。ベースである原稿がグラグラ揺れいてたら、翻訳された成果物もグラグラしたままになるのは当然です。

まずは土台をきちんと固めましょうということです。

 

根拠2 用語集とスタイルガイドで用語・表記の統一を図る

用語集とは、例えば日本語と英語を対訳表にして一覧化することです。翻訳者やチェッカーは、それに基づいて翻訳・チェックを行っていきます。同じ言葉でも文脈によってはあえて違う訳語を選択することもありますが、原則として用語を統一することで全体の統一感を図り、翻訳の品質を安定させます。

一方でスタイルガイドは、フォント(ヘルベチカ、メイリオなど文字の種類)やポイント(文字の大きさ)、ノンブル(番号の振り付け)など、スタイルをルール化したものです。

スタイルは一見、些細なことに思えるかもしれませんが、意外と読み手にとっての読みやすさに直結する部分です。統一感がないと読みづらく、ときには誤解釈すら与えてしまいます。スタイルは、事前にルールを決め関係者間でしっかりと共有し、それを守り抜く体制さえあれば簡単に解決することができます。

グレイステクノロジーでは、同社で取得している「ISO9001」で要求されている「各種規定」「品質マニュアル」に沿って構築した、独自の管理スタイルのもと作業を行います。

 

大きくまとめると以上のことに集約されます。つまり、翻訳作業に着手する前に、翻訳支援ツールなどを使用して、用語やスタイルガイドなどのルールを整備し、翻訳作業に関わる翻訳者や校正者はそれらを遵守することで品質を保つことが大事であり、それを運用できるのが同社の強みです。

 

業績と今後の見通し

老舗マニュアル制作会社であるHOTARU株式会社(本社:大阪)を昨年11月に子会社化したことから、グレイステクノロジーの収益も大きく変化しました。2022年3月期の第一四半期では前年同期比で売上が約80%ほど増加しています。これはMOS事業についてHOTARU株式会社が大きく寄与した結果です。

一方で、これまで高収益を上げてきた利益率が低下しています。コロナ禍の影響によりマニュアルのコンサル・管理・運営においt発注先送りや訪問営業制約もあって伸び悩んでいますが、HOTARU株式会社の買収によって収益構造が変化したことも見逃せないでしょう。

株価に影響を与える1株あたりの利益が今後伸びるかどうかは、「e-manual」の普及促進や、「GRACE VISION®」を積極的に販売できるかどうかがポイントになってくるでしょう。

マニュアル専門の事業はニッチ分野と言えます。同社はマニュアルだけでなく翻訳もひっくるめて事業を拡大し、なおかつテクノロジーとの融合も図っているという点ではユニークな会社で、今後が期待できるのではないでしょうか。

また主戦場が、マニュアルから翻訳業界に移ってくると、競合相手が翻訳センター(2483)やメタリアル(6182 旧ロゼッタ)になる可能性があります。しかし、これらの会社の時価総額と比べてみても、同社が十分戦える資本力・収益力はあり、戦い方次第では翻訳業界の勢力図が塗り替えられることも十分あり得りえます。

今後に期待したいです。

Classical Taste ホームへ

 

 

 

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。