トヨタは12月14日、電気自動車(EV)の世界販売台数を2030年に350万台とする目標を発表しました。
【ポイント】
- 2030年のバッテリーEVの世界販売目標を従来の200万台から350万台に引き上げ
- バッテリーEV研究・設備投資で約4兆円、電動化投資を含め約8兆円の投資
- 電池投資 1.5兆円から2兆円へ5000億円増額
目次
バッテリーEV 年間350万台へ上方修正
昨日、各紙一面にトヨタのEV戦略に関する記事が出ていたね。
さわっち、簡単に説明してくるかな。
一昨日(12/14)、トヨタによるバッテリーEV戦略に関する説明会が開催され、新型BEV(バッテリEV)「bZ」シリーズを公開したんだ。
バッテリーEVって何?
「EV」はElectric Vehicleの略で、電気自動車のこと
一般に「電気自動車」は、「EV」の中でも「BEV」と分類されるんだ。
「BEV」とはBattery Electric Vehicleの略式で、“バッテリーの電気だけを使ってモーターで走る車”のことを意味するんだよ。
つまり、“電気で走る”ハイブリッド車や燃料電池自動車、プラグインハイブリッド車も、EVに含まれるけど、バッテリーEV(BEV)が本当の意味での電気自動車ってことだね。
そうなんだ。よく知ってるね。
てへへへ。
バッテリーEV(BEV)の年間生産台数を当初目標としていた200万台から350万台に上方修正すると発表したんだ。
これはかなりすごいことなんだよ。
でも、トヨタって年間1000万台ほど車を生産する会社でしょ。
年間350万台は全体の3割ぐらいだから、トヨタはバッテリーEV(BEV)にそれほど力を入れていないってことじゃないの。
それは違うんだ。
確かに全体の3割程度で少なく見られがちなんだけど、トヨタにとってかなり野心的な計画なんだ。
これはについては、トヨタの「全方位戦略」に関係してくるんだ。
「全方位戦略」?
つまりバッテリーEV(BEV)だけでなく、ハイブリッド車や燃料電池車、ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車、そして水素燃焼エンジンや代替燃料エンジン車を揃えることで、全てのお客様に選択肢を提供することなんだ。
【トヨタブランド】
170以上の国と地域で、約100車種のエンジン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車を投入。
【レクサスブランド】
90以上の国と地域で約30車種のエンジン車とハイブリッド車、プラグインハイブリッド車を投入。30年までに欧州、北米、中国で、35年に世界でEV比率を100%にする。
なるほど。EVの充電供給体制が整備されていない国や地域もあるだろうし、利便性を考慮してハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)などを選好するお客様もいるだろうからね。
「いかなる状況、ニーズにも対応し、多様な選択肢を提供する。選ぶのは各市場であり顧客だ」 豊田章男社長
バッテリーEVについては、2030年までに30車種のグローバルに乗用・商用各セグメントにおいてフルラインナップでバッテリーEVをそろえる予定なんだ。
話を元に戻すけど、そうすると年間350万台っていうのはすごいことなの?
豊田章男社長も次のようにおっしゃっていた。
「トヨタはEVに前向きじゃないと言われる。絶対台数で評価していただきたい」
「200万台でも大変な量。350万台がとてつもない数だというのを認識してほしい」
これまでトヨタがバッテリーEV(BEV)に前向きではなかったと批判され、相当悔しい思いをしてきたんだと思う。
「トヨタはEVに慎重」と常に言われ続けてきた。
環境団体からもBEV移行に後ろ向きと批判され最低評価を受けていたからね。
会見では直接的な言葉で語られなかったけど、おそらく・・・
「トヨタはバッテリーEV(BEV) を350万台にすると言っているんだ。批判される筋合いはない。これはトヨタの戦略なんだ。350万台にするためにどれだけの企業努力を必要とするか、君たち分かっているのか!」
口には出していなかったけど言葉の端々から、おそらくそのような想いだとお察ししました。
確かに350万台という目標は、世界大手メーカーの販売台数にも匹敵する規模。
実現すれば、バッテリーEV(BEV) でも世界トップクラスのメーカーになるってことだよね。
電池調達は大丈夫?
ところで、バッテリーEV(BEV)を増やしていくって言っても、電池がなかったら意味がないよね。それだけの量を本当に調達できるの?
トヨタでは長年にわたり、内製で電池の研究開発と生産を続けていたんだ。
ニッケル水素電池やリチウムイオン電池、それに次世代電池と言われている全固体電池の研究も行っているんだ。
これまで1兆円近い投資をし、累計1,900万台以上の電池を生産してきたんだ。
クルマづくりだけじゃなかったんだね。
バッテリーは、280ギガワット時の確保で、EVで先行するフォルクスワーゲンを上回る量を目指すみたい。
*EVを巡ってはテスラが30年に3000ギガワット時の桁違いの電池確保を目指す。
電池関連の新規投資を従来の1.5兆円から2兆円目標に増額し、さらに先進的で、良品廉価な電池の実現を目指す考えなんだ。
また、会見では全固体電池搭載の可能性についても触れられたことは注目に値する。
まとめ
トヨタは、やっぱり「世界のトヨタ」の自負があるんだね。気概を感じる。
あとは、バッテリーEVもガソリン自動車に比べるとまだまだ車両価格は高いので、企業努力でもっと安くしてもらいたいな。
会見でもあったんだけど、
「単に新しい手法を取り入れたからといって、簡単に安くなるわけではない。本当に小さい改善の積み重ねがあって、少しずつ価格を押し下げることができるんだ」と。
トヨタは、これまで本当に地道な改善を重ねて良質はクルマを提供し続けてきたんだ。
「良いモノをより多くの人に」これからも頑張って欲しいですね。
どれを選ぶか。それを決めるのは、私たちではなく、各地域の市場であり、お客様です。
どうしてここまでして選択肢を残すのか。
経営的な話で言うなら、選択と集中をしたほうが効率的かもしれません。
しかし、私は、未来を予測することよりも、変化にすぐ対応できることが大切だと考えております。
だからこそ、正解への道筋がはっきりするまで、お客様の選択肢を残し続けたいと考えています。
バッテリーEV戦略に関する説明会での豊田章男社長のスピーチ
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