【まとめ】東証再編により市場ブランドを取り戻せるのか

東証再編により市場ブランドを取り戻せるのか

2022年4月4日より証券市場が再編され、現在「東証1部」「東証2部」「ジャスダック スタンダード」「ジャスダック グロース」「マザーズ」の5市場を「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に集約されます。

約60年ぶりの再編となり、今後東証がどう変わるのか、懸念されていることは何なのかについて、分かりやすく解説していきます。

【プロフィール】
さわっち(本名:澤 圭太郎)
野村證券で11年間の勤務を含め計16年間の証券営業を経験。国際テクニカルアナリスト資格を保有。

退職後、本格的に株式投資を開始。その知識・経験から株式投資で必要な知識や本当に知っておくべきことをブログを通じて発信している。既に投資をされている方や、これから投資を考えている方に少しでも有益な情報をお届けしてまいります。

運営ブログ:Classical Taste 投資・マネーなどを簡単解説しています。

資格:国際テクニカルアナリスト連盟
   検定テクニカルアナリスト (Master of Financial Technical Analysis、MFTA®)
*テクニカルアナリストでの最上位資格

東証再編の経緯

ちゅん太郎
ちゅん太郎

東証再編についてのニュースを見たんだけど、詳しく教えてくるかな

さわっち
さわっち

OK。

出所:日本取引所グループ(JPX)ウェブサイト
さわっち
さわっち

2022年4月より、現在の5つに区分されていた証券取引の市場区分を、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に集約されるんだ。

最上位の「プライム」には東証1部の約85%が移行する見込みだ。

ちゅん太郎
ちゅん太郎

なぜ東証は再編されるの?
今のままじゃダメなの?

さわっち
さわっち

理由は、
東証1部の銘柄数が多くなり、市場の質が落ちたと言われ、そのブランド回復の意味合いがあるからなんだ。

なんと米アップル1社の時価総額は、東証全体の5割の規模

「東証は今まで何やってきたんだ」と言われても仕方がないんだ。
だから東証は何としても海外の資金を呼び込んで市場を活性化させたいんだ。

東証はこれまで上場基準を緩めにし、少しでも多くの企業に上場の機会を与えた。

その結果、他の先進国と逆行するように上場会社数が膨れ上がっていき、東証1部の銘柄数は2,185社(2022年1月5日時点)となり、この30年で実に8割も増えた。

確かに以前は「東証1部だから優良企業」というブランドがあった。

しかし、上場基準が緩い現在では「それほど優良でなくても上場できる」とされ、その結果、数十兆円から数十億円の企業までが玉石混交状態となり、市場にプレミアム感みたいなものが消え失せてしまった。

東京証券取引所は再編の目的を「国内外の多様な投資者から高い支持を得られる魅力的な現物市場を提供することを目的として、3つの市場区分に見直す」としていることから、ブランド回復と市場の活性化の意味合いが大きいと言える。

再編の概要

さわっち
さわっち

再編の概要はこうだ!

現在再編後
市場の種類東証1部、東証2部、ジャスダック スタンダード 、ジャスダックグロース、マザーズの5市場プライム・スタンダード・グロースの3市場
最上位市場への上場条件流通時価総額10億円以上

時価総額40億円以上(注1)


流通株式比率5%以上
流通時価総額100億円以上
*流通時価総額=流通株式数×株価
時価総額250億円以上

流通株式比率35%以上
赤字上場一部では原則認めない赤字上場でも、5年以内の適合に向けた具体的な計画が開示されていれば、上場廃止を猶予
上場廃止の基準2期連続で債務超プライムでは流通時価総額100億円を下回ること
東証株価指数(TOPIX)全銘柄で構成プライム市場銘柄で構成

(注1)直接上場する時は時価総額が250億円以上必要だが、2部やマザーズからの1部への上場は40億円以上で可能

今回の再編の特徴として、上場・上場維持基準が厳しくなったことが挙げられる。

特にプライム市場は、多様な機関投資家や外国人投資家が投資するため、流動性と信頼性を更に高めなければならず、コーポレートガバナンス・コードで一段高いガバナンスの適用が求められます。

また従来では、東証1部に時価総額40億円で上場でき、10億円を下回らないと上場廃止にならなかったが、プライムでは上場・廃止ともに一律に流通時価総額100億円以上を求められることとなった。

新規上場基準、上場維持基準ともに厳しく、これまでの東証一部より上場が難しくなるだろう。

ちゅん太郎
ちゅん太郎

プライムでは基準が厳しくなるなら、プライムに上場している銘柄はそれだけ価値があり、株価も上昇するってことなの?

さわっち
さわっち

そうとも言い切れない。

なぜなら、東証1部の84%の企業がそのままプライム市場に横滑りするからだ。
看板の掛け替えと言われても仕方がない。

さわっち
さわっち

現在東証1部上場でプライムの上場基準を満たさない617社ある。
それらの企業は以下のような選択をしたんだ。

経過措置を利用してプライム市場に残留・・・296社
スタンダード市場へ移行・・・321社

各企業がどの市場を選択したのか?

日本経済新聞社が情報を開示しているので下記URLをご参考ください。

「東証市場再編 各企業の行き先は」(出所:日本経済新聞社)

ちゅん太郎
ちゅん太郎

基準に満たなくても最上位市場に残留できるの?
何か達成基準はあるの?

さわっち
さわっち

基準に未達でも適合に向けた計画を提出すれば当面の間、希望の市場に残留できる経過措置があるんだ。

基準適合までに5年以上を要する計画の会社が20社もあり、なかには10年以上という会社もあるので、再編といっても中身は骨抜きな内容になっている感が否めないよね。

さわっち
さわっち

けど、マイナス面だけじゃないんだ。

自社の企業価値を見つめ直し、今後どのようにして企業価値を高めていけば良いのかを『適合計画書』を通して真剣に考えている企業も多いんだ。

再編がマーケットに与える影響は?

TOPIX(東証株価指数)が変更される

TOPIXは東証一部の全銘柄で構成されている指数のため、市場再編に伴い変更を余儀なくされそうだ。

出所:日本取引所グループ(JPX)ウェブサイトより

【見直しの算出ルール】
・2022年4月1日の構成銘柄は、新市場区分施行後も選択市場に関わらず継続採用される。
・流通株式時価総額100億円未満の銘柄については「段階的ウエイト低減銘柄」とされる。
「段階的ウエイト低減銘柄」は、2022年10月末から2025年1月末まで、四半期ごとに構成比率が低減される。

上記ルールによって「段階的ウエイト低減銘柄」とみなされた銘柄は、インデックス(パッシブ)型の投資信託・ETFの投資比率が低下され株価にとってマイナスインパクトになる可能性があることを留意しておく必要がある。

株式の持ち合い解消の動きが加速する

流通時価総額100億円以上流通株式比率35%以上

今回の再編では流通株式が重視されている。

東証1部からプライム市場に残留する企業の中で、通常の時価総額は十分でも、流通時価総額や流通株式比率が未達の企業も多く見られる。

日本オラクル (4716)
スタンダード市場での上場を表明している。実質的な親会社である米オラクルの株式保有比率が74%と高く、流通株式比率を満たせませんでした。時価総額は1兆円超(2022年1月14日現在)

そうすると、

流通株式比率を高めるため、持ち合い株解消の動きが加速する

これまで株式の持ち合いは、安定した経営運営や敵対的買収の防衛手段として、ある意味、日本の慣行とされてきたが、外部株主からの経営干渉を排除するといった側面もあった。

昨今では、持ち合い株の開示ルールが厳格化されたことで解消の動きが広がり、今回の再編はその流れをさらに加速させるだろう。

株価への影響は?

短期的には、株式の持ち合い解消により市場流通株式が増えることで需給が悪化し、株価にとってマイナス要因となる可能性がある。

しかし、経営者の持ち株売却や持ち合いの解消などを通じて流通株式数を積極的に増やし、社外取締役の増員など、コーポレートガバナンスの強化にしっかり取り組めば、中長期的には株価にポジティブな影響を与えることになるだろう。

大正製薬ホールディングス(4581)
「リポビタン」でおなじみの同社株は、時価総額は4500億円(2022年1月14日現在)と大きく、プライム残留でもおかしくないが、スタンダード市場へ移行。

一方で、東証1部以外でプライム基準を満たしていると考えられていた、メルカリや日本マクドナルドホールディングス、フェローテックホールディングスなどは、プライム以外を選択したと事前に表明していなかったため売りが広がった。

まとめ

東証の再編により、4月4日からいよいよ新設3市場が始動する。

東証は、先進国と比較しても、小粒の企業を集めた市場として存在感を薄めつつあり、その危惧を打破するために今回、約60年ぶりに大ナタを振るったが、結局、海外投資家の資金を呼び込むほどの魅力ある再編には程遠い内容となった。

プライム市場の更に上位に30〜50銘柄程度で構成される市場(例えばプラチナ市場)などを創設すればもっとメリハリが効いたものになったのではないかと思うが、後の祭りだ。

しかし今回の再編で、現在上場している企業やこれから上場を検討している企業が、コーポレートガバナンス強化など自社の企業価値を見つめ直す大きなきっかけになったことは間違いない。

プライム市場が、本当の意味での「プライム」として内外から評価される日が来るのか。

まだまだ道のりは長い。

運営ブログ:Classical Taste 投資・マネーなどを簡単解説しています。

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